Heart magic
「はぁ…っ、はぁ……。」
普段運動なんてしないせいですぐに限界を迎えて立ち止まった。
……もっと逃げたいのに、逃げられない。もう限界だ。
私はそう本能的に思って、隠れようとあたりを見回した。
私は、別荘から自分が来た方へ山を下ったはずだから普通はキャンプ場みたいな森林が続いているはずだった。
なのに、
なぜか………っ、
私がいたのは……池の真ん中に塔のような家のある見慣れない場所だった………。
「え…っ?!ど、うして……っ?」
おかしい…おかしいじゃない…!!
混乱して頭が取れそうなくらいきょろきょろ見渡していると、
「キミ、見ない顔だね。どーしたの?」
静かに声がした。
私の胸にスッと入り込んでくる不思議な声色。
操られるように彼がやってくる方を見た。
「…ハッ!!」
そこに立っていたのは………、
現実味を帯びていない王子様のようなイケメン男子が静かに佇んでいた………。