あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
 そして、何かをきっかけにそれをやめ、家に入る。
 あの父親だって、昔は王城で働いていたらしい。そこで出会ったのが、同じように王城で働いていた母親なのだ。なぜ母親があの父親に惹かれたのか、それは未だにヘンリーも知らない。
 だけど、そんな出会いの場でもあるのが王城。
『まあまあだね』
 父親がいない場所であるだけ、楽しいのかもしれない。

 コリーンの様子がおかしいと思ったのは、デビュタントから十日ほど経ったころだろうか。
『お兄さま!』
 彼女は、何かあるとすぐにヘンリーを頼る。
 両親が当てにならないのだから、仕方あるまい。そんな妹をかわいいと思いながらも、鬱陶しく感じるときもある。
『どうしたんだい? 淑女はそのように慌ててはいけないよ? どんなときでも慎みをもって行動しなさい』
 こうやって彼女を嗜めるのもヘンリーの役目。
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