あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
料理人はアンナの言葉に気分をよくする。
「それで、旦那様と奥様をふたりっきりにさせてきたわけかい?」
ここでは長く洗濯を担当している年配の女性使用人が、声をかけてきた。
「だって。レナート様が早く出て行けと、目で訴えてくるので……」
「あらあら。なんだって旦那様もお変わりになられて」
彼女はからっと笑う。
「そういえば、あの地方の流行り病。奥様のおかげでなんとかなったと聞いたけど?」
彼らが聞きたいのは、こちらの話だったようだ。
レナートが隣国へ向かったのは、聖女の力を借りるためだった。国の東側で、今までとは異なる流行り病が流行しており、そこに力を貸してほしかった。
魔術師は、何もないところに火をつけたり、風を吹かせたり、とにかく自然の力を増大させて自由に操ることはできるが、治癒の力はない。
流行り病の範囲が広がりつつあり、このままでは国土全土に広がってしまうかもしれない。そう考えた国王が、隣国の聖女の力を借りられないだろうかと言い出した。
隣国では数十年ぶりに聖なる力を持つ女性が現れたと聞いていたからだ。それが聖女と呼ばれる女性である。さらに最近では二人目の聖女も現れたらしい。
レナートは、ローレムバ国王からの依頼を受けて、隣国イングラムへと足を向けた。イングラム国王との面会はできた。こちらの希望は伝えた。
「それで、旦那様と奥様をふたりっきりにさせてきたわけかい?」
ここでは長く洗濯を担当している年配の女性使用人が、声をかけてきた。
「だって。レナート様が早く出て行けと、目で訴えてくるので……」
「あらあら。なんだって旦那様もお変わりになられて」
彼女はからっと笑う。
「そういえば、あの地方の流行り病。奥様のおかげでなんとかなったと聞いたけど?」
彼らが聞きたいのは、こちらの話だったようだ。
レナートが隣国へ向かったのは、聖女の力を借りるためだった。国の東側で、今までとは異なる流行り病が流行しており、そこに力を貸してほしかった。
魔術師は、何もないところに火をつけたり、風を吹かせたり、とにかく自然の力を増大させて自由に操ることはできるが、治癒の力はない。
流行り病の範囲が広がりつつあり、このままでは国土全土に広がってしまうかもしれない。そう考えた国王が、隣国の聖女の力を借りられないだろうかと言い出した。
隣国では数十年ぶりに聖なる力を持つ女性が現れたと聞いていたからだ。それが聖女と呼ばれる女性である。さらに最近では二人目の聖女も現れたらしい。
レナートは、ローレムバ国王からの依頼を受けて、隣国イングラムへと足を向けた。イングラム国王との面会はできた。こちらの希望は伝えた。