あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
口元に近づけると、水の透明な匂いが鼻につく。一口飲めば、やはり身体は水分を欲していたようで、やめることができなかった。
グラスの水を一気に飲み干した。
「大丈夫か?」
驚いた様子でウリヤナを見ていた男は、空になったグラスを預かった。
「あ、はい……ありがとうございます。ところで……ここは?」
きょろきょろと周囲を見回すが、先ほどまでいた安っぽい宿ではない。今いる寝台も、広くて柔らかい。
「テルキにある宿だな。お前が休んでいた宿は……その……まぁ、あれだ」
言いにくそうにしている様子から、彼なりの気遣いが見え隠れした。
「あぁ……」
思い出した。
激しい爆発音がした。
すぐさま神官からもらった魔石を用いて、瞬間的に防護壁を放った。それから部屋を出て、母子のもとへと向かったのだが、すでに室内には煙と焦げ臭いにおいが漂っていた。
そこから、記憶が途切れている。とにかく、あの魔石によって最悪な事態は免れたようだ。
目の前にいる男は見知らぬ男。それでも一緒にいた母子らが心配だった。
「あの、他の人は……」
「あぁ。怪我をした人はちらほらいたが、今のところ、死人が出たとは聞いてないな。出たら、お前をここにつれてくることはできなかっただろう」
母子のことを聞きたかったのだが、死人が出ていないという言葉が聞けただけでも十分である。それがすべてを物語っている。あの二人は無事なのだ。
グラスの水を一気に飲み干した。
「大丈夫か?」
驚いた様子でウリヤナを見ていた男は、空になったグラスを預かった。
「あ、はい……ありがとうございます。ところで……ここは?」
きょろきょろと周囲を見回すが、先ほどまでいた安っぽい宿ではない。今いる寝台も、広くて柔らかい。
「テルキにある宿だな。お前が休んでいた宿は……その……まぁ、あれだ」
言いにくそうにしている様子から、彼なりの気遣いが見え隠れした。
「あぁ……」
思い出した。
激しい爆発音がした。
すぐさま神官からもらった魔石を用いて、瞬間的に防護壁を放った。それから部屋を出て、母子のもとへと向かったのだが、すでに室内には煙と焦げ臭いにおいが漂っていた。
そこから、記憶が途切れている。とにかく、あの魔石によって最悪な事態は免れたようだ。
目の前にいる男は見知らぬ男。それでも一緒にいた母子らが心配だった。
「あの、他の人は……」
「あぁ。怪我をした人はちらほらいたが、今のところ、死人が出たとは聞いてないな。出たら、お前をここにつれてくることはできなかっただろう」
母子のことを聞きたかったのだが、死人が出ていないという言葉が聞けただけでも十分である。それがすべてを物語っている。あの二人は無事なのだ。