あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
「あ、ああ。そうだな」
 聖女と呼ばれる彼女たちのことを考えて、書簡のことはすっかりと頭から抜け落ちていた。
 明けた封筒を手にしたまま、惚けてしまったらしい。
 封筒の中身を取り出すと、急いで視線を走らせた。
「……?!」
 信じられない内容だった。いや、信じたくない内容だ。
「殿下、どうかされましたか?」
「お前も読んでみろ」
 もう見たくないとでも言うかのように、クロヴィスは広げた羊皮紙をアルフィーに押し付けた。
「私が読んでもよろしいのですか?」
 アルフィーは怪訝そうに目を細くしてから、それを受け取った。
「あぁ」
 クロヴィスは両手で頭を抱え込む。
 現状を打開したくローレムバ国に相談したつもりだった。隣国であるローレムバ国であれば、そこそこのよい関係を築けており、きっと助けてくれるだろうと思っていた。
 だが、彼らの考えは違ったようだ。
「殿下。これは、つまり……。イングラムにローレムバの属国になれ、と?」
「そうとしか読み取れないだろう?」
「いや、ですが……。なぜローレムバはそのようなことを?」
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