あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
 心当たりは大いにある。クロヴィスは唇をきつく噛みしめる。
 原因は、聖女の聖なる力にある。
 彼らが聖なる力による助けを求めてきたときに、同じような返事をこのイングラム国がしたからだ。しかし、それを決めたのはクロヴィスではない。彼の父親である国王だ。
 ――聖女の力を借りたければ、イングラムの属国となれ。
 今でもあのときの勝ち誇ったような父王の顔は覚えている。ローレムバ国はわざわざ足を運んできたというのに。まるで見下すかのように、その言葉を放ったのだ。
 そのせいで今、イングラム国が窮地に立たされているのだ。
「くそっ」
 ドンと、机を拳で叩く。その反動で、重なっていた書類のいくつかは崩れた。
 慌ててアルフィーが落ちた書類を拾い集め、先ほどと同じように机の上に重ねる。
 強く握りしめた右手が痛い。
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