あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
 クロヴィスは眉間に力を込めた。
 しかし、あれはクロヴィスが口外しない限り、他の者には知られないはず。まして、聖女の彼女たちにとっては、なおさら知られたくない話だろう。
 魔が差したわけではない。彼女たちを、いや、彼女()()を繋ぎ止めたかっただけなのに。
「とりあえず、ローレムバにはしばらく考えさせてほしいと返信するが……」
 そんな悠長なことを言っている状況でないのもわかっている。しかし、この内容を受け入れてしまえば、すべてをローレムバの支配下に置かれてしまう。
 それはクロヴィス一人で決められる内容でもない。正式に返事をするにしても、時間がかかる。
「アルフィー。ウリヤナを探せるか?」
「ウリヤナ様ですか? 彼女はどこかの修道院に身を寄せているのでは?」
 幾度となく神殿に足を運んだ。神官長や侍女にも話を聞いた。彼らが口を揃えて言うのは、ウリヤナはどこかの修道院へいった。場所まではわからない。
「そのどこかを探し出して欲しい。探し出して、こちらに連れ戻せないか? 神殿だって、本来は彼女を手放したくないと言っていたではないか。つまり、神殿側はウリヤナが力を失っても、彼女に価値があると思っているわけだ。例えば、その力が戻ってくる可能性があるとか、な」
 アルフィーは、首を横に振った。
「調べてはみますが……。あまり期待しないでください。ウリヤナ様が見つかったとしても、素直にこちらに戻ってきてくださいますかね?」
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