溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「……」


呆れたように私を見下ろす冷たい瞳。


「使用人ごときにずいぶん肩入れしてるんだな」


ごときって、なに。


怒りで体を震わせながら、ようやく彼の手を振り払ってこう叫んでいた。


「あなたにはわからない」


彼だけは邸に一人で残された私を見捨てなかった。


彼だけは今も私を主人として扱ってくれてお嬢様って呼んでくれる。


そして、誰よりも私の気持ちを尊重して、いつも私を心配してくれていて。


今だって、また誰かに私がここに連れてこられてることを聞いて、心配で駆けつけてくれたんだ。


「早くやめさせてくださいっ」


誰かに向かってこんなに、大きな声を上げたのなんて生まれて初めて。


今この瞬間、紫音がどんな酷い目にあっているかと思うと生きた心地がしない。


「若葉お嬢様っ」
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