溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
もうっ、晶ちゃんたら、なんでもかんでも恋愛フィルターをかけちゃうんだから。


私と紫音はそんなんじゃないよ。


いたって健全な主従関係なんだからね。


「はい、ぞっこんです」


紫音も悪ノリしておかしな返事をする始末。


「ええっ!」


ぞっこん、だなんてよく軽く口にだせるな。


それとも私の頭がカチコチに固すぎるのかな?


うーん、私もこの軽いノリに合わせたほうがいいのかも。


紫音だって堅苦しい関係なんて望んでないよね。


「し、紫音」


「はい」


「私も紫音のことが……」


あれ、私いま何を言おうとしてるんだろ。


うまく空気を読んでみんなで楽しく笑いあえることを言いたいだけなのに。
 

体の奥からカッーと熱くなってきて汗がでそうだった。 


「ずっと……」


彼の瞳を見つめると頭の芯がぼんやり。


「お嬢様?」


「……」


私の希望は、ひとつだけ。


「……」
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