溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
たぶん本人はあまり自覚が無さそうだけど。


普段ならこの無邪気な色香を直接浴びないように視線をそらすんだけど今はダメだ。


どうしても伝えなきゃいけないことがあるから。


真っ直ぐに彼女を見返して両手で小さい手を包み込むように握りしめる。


「若葉お嬢様、ひとつだけ俺と約束してください」


「え?」


精一杯、心を込めて言葉を紡いだ。


「辛い時は俺を呼んでください。決して一人では泣かないで」


彼女は大きく目を見開きうっすらと頬を染めた。


「約束、できますか?」


「う、うん、約束する」


その返事を聞いて、ようやく少し安堵した。


「それでは、休み時間にまた様子を見に来ます。
何かあったらスマホに連絡してください」


「うん、わかった。
あ、あの、紫音」


「どうしました?」


口元に手をやりながらモジモジして、瞳を揺らす彼女。


「……ありがとう、紫音」


「……ッ」
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