溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
恥ずかしそうにお礼を言う彼女の華奢な身体を今すぐ抱きしめたかったけど、そっと頭を撫でただけでその場を後にした。


「……」


はぁ、今のはマジでやばかった。 


心臓がバクバクと早鐘を打っているのがわかる。


あと少しでも近づいたら執事の領域をはずれてしまうところだった。


近づきすぎてもいけないし、かと言ってよそよそしく突き離してもいけない。


適度な距離を保つことが何より重要。


そう普段から自分に言い聞かせているけど……。


昨日使用人がこぞって辞めてしまった今は正直どうしたらいいか困っている。


お嬢様を励ましてあげたい、彼女のそばにはいま俺しかいないんだから。


だが、あの広いお屋敷に彼女と2人きり。


いろんな意味で不安でしかないんだけど。


せめてだれか大人がもう一人でも辞めないで残ってほしかったが、それぞれに家族や生活のこともあるから仕方がない。


みんなお嬢様のことを慕っていたし、本当は辞めたくなんてなかったに違いない。
< 38 / 341 >

この作品をシェア

pagetop