溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「若葉お嬢様?」


「ううっ」


ダメ、我慢しなきゃ。


笑って送り出してあげないといけないよね。


それが私が彼に出来る唯一のこと。


だけど、どうしょう、やっぱり凄く寂しいよ。


「どうされました?」


さっきよりもっと優しい声で尋ねられたから、いよいよ堪え切れそうにない。


「だって」


瞳に溜まっていた雫がはらはらと溢れた。


彼は感情を抑えたような声で話し出した。


「みんながいなくなって心細いですね。俺もちょっとびっくりしてしまって引き継ぎやらなんやらで忙しくしていました」


え、引き継ぎって?
どういうことだろう。


「でも、こんな時はお嬢様のおそばに付いているべきでした。すみません1人にして」


彼はまた私の涙を拭いてくれた。


そして、ソファに腰掛けていた私の前にひざまずいた。


目線を合わせてフワリと笑う彼。
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