溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
その時、閉め忘れていたドアがギイって不気味な音をたてた。


「ヒィッ」


背中に冷たいものが走る。


「ユーレイ?怖い」


急いで紫音のお布団に潜り込んだ。


「ちょっとだけお邪魔します」


「こわいよう、紫音、紫音」


半泣きになりながら彼に抱きつくけど、ンッてうめいて壁際に寝返りを打ってしまう。


紫音を起こしちゃいけないけど、できることなら起きて欲しい。


「紫音ーっ」


耳もとで囁くと、ゆっくりとした動作で振り返ってくれた。


「ンッ……あす、やります」


目を閉じたまま意味不明な寝言を呟いてまたスースー寝息をたてはじめる。


ああ、ダメだ、全然起きてくれない。


「もう、紫音ったらー」


恨めしげに睨んで、彼の腕の中に潜り込んだ。


寒いのと怖いのと寂しいのが混ざり合ってもうぐちゃぐちゃ。


「はあ、紫音ってあったかいな」

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