溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
『ほんと?遊びたいっ』 


『何して遊ぶ?』


『おままごとがいい』


彼が旦那様の役、私は彼の奥さんの役、赤ちゃんはくまさんのぬいぐるみ。


そういう設定のおままごとに当時ハマっていたっけ。


『ゲッ、またかよー?』


ブツクサ言いながらも、泣いている私をおぶってお邸のほうへ戻ってくれる。


そんなことを何度か繰り返すうちに、彼は私のお守り係になっていき……。


成長するにつれて、必然的に私の専属執事になってくれたんだ。


「紫音くん」


あの頃を思い出して、そう呼んでみる。


「一緒にいてくれてありがとう」


彼はすっかり青年へと成長して、執事とお嬢様の関係へと変化した。


私をすっぽりと包み込んでしまうくらいに逞しい彼の体躯。


今の生活は、あの頃みたいな子供のおままごとなんかじゃないけど。


今でも変わらないあなたの優しさに包まれている。


彼に抱きしめられて、ドキドキするようなこの状況で昔のことを思い出しながらあったかい眠りに落ちていった。
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