元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される

第四話 学園へ

 月日が経つのはあっという間だった。レインがユリウスに救われてから四年が経つ。
 優しくあたたかなアンダーサン公爵家の人々に包まれ、育てられ、レインはずばぬけて賢く、透き通るように美しい少女へと成長を遂げた。ユリウスも立派に成人し、と同時にやりたいことがある、と引退を決意し辺境へ行ってしまった父公爵から爵位を継いだ。

 レインが十五才、ユリウスが二十二歳のことである。そんなレインももうすぐ――本当の誕生日はわからないので大体の目安だが――十五才となる。
 王立学園に入学する時がやってきたのだ。

 この国、イシス王国の貴族令嬢と貴族令息はみな十五才を迎える年の春から三年間、王都にある王立のイシス学園に通うことを義務付けられている。貴族同士の結束を固め、有事の際に備えるため、というのがその義務の名目だが、貴族同士の結束が固まるかと言えば、そうであってそうではなかった。
< 61 / 243 >

この作品をシェア

pagetop