元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
それ以上レインに気を遣わせないためだろうか、ユリウスがぴしゃりと言った。
ユリウスのこういうところは、優しいけれどもどかしいところだった。レインはもっと、ユリウスの役に立ちたいし、迷惑をかけたくないのに。
「それより」
ユリウスが話を変えるように、レインに向き直った。
「オリバー第一王子のことを、どう思った?」
突然の質問に、レインは戸惑った。ユリウスが王子の印象について……というか、誰かの印象について尋ねて来たのは初めてだったからだ。
第一王子は、印象に残る人物だった。……悪い意味で。
ユリウスが何を知りたくてこんなことを聞くのかわからない。
レインはユリウスの顔をじっと見つめた。その表情には、レインの中の何かを探るような色があった。