誰も知らないもうひとつのシンデレラストーリー
俯いて言葉を連ねる少女の顔を両手で包み込み、王子様は目を合わせます。


「…俺は、もう選んでる」


真っ直ぐな瞳に、少女は、再び涙を浮かべました。


「…えっ、な、なぜ泣く?すまない、」


今度は焦ったように、強く抱きしめる王子様に、少女は少し頬を緩めました。


さっきまでのざわざわした、不安な心が一気に晴れ、

幸せな気持ちに溢れます。


…私は、王子様に恋をしてしまったんだ。


少女は、そんな許されない気持ちを、

自覚するほかありませんでした。


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