誰も知らないもうひとつのシンデレラストーリー

Real&Story9

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「で、今年の文化祭ですが、私達2年生は例年通り劇で参加します。

そして、私達B組のテーマは、

「切ない恋物語」に決まりましたので、台本を募集します!」


学級委員が進めるホームルームで、文化祭の取り組みがスタートした。


「劇かー、妃花小道具だよね?私も小道具がいいなあ」

「うん、そうだね、小道具がやりたい」


後ろを振り返る友人と、そんな会話をしてにっこり笑う。


いつも通り、キャストなんて目立つことはしない。

小道具係が私らしい、最適解なのは私も周りも共通認識のようだった。


きっと、皇輝は主役だろうな。

そんな想像と共に、

私の心に浮かぶ不釣り合いという言葉がぎゅっと勝手に心臓を締め付けた。


「はいはいはい、私、このドラマ!やりたいです!超切ないし!超泣いたんだよね!」


手を挙げたのはクラスのアイドル萌。


「えー!いいじゃん!私もそれ見てた!良いよね!」

「ちょっと後味悪い感じだったけどね。」

「そこが切なくていいんじゃん!」


大賛成の女子たちに、あっという間に台本はその物語に決まって進んでいった。
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