誰も知らないもうひとつのシンデレラストーリー

Nonfiction12

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「文化祭、大成功!おつかれー!!」


先生が買って来たパックのジュースを片手に萌の掛け声で、クラスメイトは乾杯をした。


皆に乾杯をして回る生徒たちの様子を見ながら、

私はやっぱり端の方で静かにジュースに口を付ける。

冷たいオレンジジュースは、乾いていたのどに染みわたって、いつもの何倍も美味しく感じた。


「妃花も、お疲れ様!演技さいっこうだったよ、私泣いちゃった」

「私も私も!ってかお客さんとか号泣だったの気付いてた!?」


誰も来ないと高を括って、

余韻に浸るように静かに時間を過ごしていた私に、クラスメイトが押し寄せてきて驚く。


「え、あ、ありがとう…!そんな観客なんて見る余裕なかったよー…」


照れくさくてそんな風に笑うと、

みんなは大袈裟なくらいに私を褒めてくれて、私も気付けば笑顔になっていた。


「悔しい気もするけど、はまり役だったよね、超感動したし」


萌も気付けば近くにいて、そんなことを漏らす。

萌の友達も駆け寄ってきて、


「いや間違いなく正解だった。」

「怪我の功名ってやつだね」

「ちょっと、私が言うのはいいけど、あんたたちは言わないでよ!」


仲が良いからこそできる彼女たちのやり取りに、私は笑ってしまった。
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