【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない

強い引力に導かれるように、わたしはおずおずと口を開ける。そして。

ぱくり。

藍くんがわたしの口の中にチョコをそっと押し込んだ。


わたしの唇に、ふにと藍くんの人差し指が触れる。


熱で柔らかくなっていたチョコは、口の中ですぐどろりと溶ける。


「うまい?」

「おぃ、しい……」


つんと鼻に抜ける洋酒の香り。

大人でビターな味わいが口いっぱいに広がる。


藍くんに見つめられたまま、甘い塊をごくんと飲み込む。
< 100 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop