【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
ぽたぽた、と紙に上に涙のしずくが落ちた。
涙を流しながら、馬鹿みたいに何度も何度もその文字を読み返した。
宙ぶらりんだったわたしの心を、そこに並んだ字が繋ぎ止めてくれた。
どんなに頑張って踏ん張っていたって、わたしを認めてくれる人なんていなかったから。
『ありがとう、神崎くん……』
当時は顔も知らなかった相手に向かって、わたしはそう呟いた。
その日からだ。
わたしが神崎くんを推すようになったのは。
きっかけもすべて、神崎くんの優しさからだった。