【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
でもやっぱり藍くんの匂いに包まれていると、幸せに満ち足りた気持ちになる。
「わたし、藍くんの腕の中が一番大好きだなぁ……」
藍くんの温もりの中、そんな本音が自然にぽろりとこぼれると。
「……天然大魔神め」
藍くんがわたしの肩に口元を埋め、文句を言うようにぼそっとつぶやいた。
こんなふうにくっついていられることが、今でも信じられない。
藍くんの大きな手のひらに自分の手のひらを重ねれば、藍くんが長い指を絡めてくれる。
そうやって絡めた手の熱を感じていると、じんわり浸るように藍くんが耳元で囁く。
「本当に俺の番なんだな」
「そうだよ」
「やばい。なんかにやけるわ。俺の女だっていいふらしたくなる」
すぐそこで藍くんが笑った気配。
後ろから抱きしめられているせいで、その笑顔を見逃してしまったのが惜しい。
くしゃっと目をなくし、一気にあどけなくなるその笑顔がたまらなく好きなのに。