【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない

気づけば、すっぽりと後ろから抱きしめられていて。


「へ……」

「……まだ」


状況を掴みきれず瞬きを繰り返していると、頭上からぼそっと声が落ちてきた。


「え?」

「もう少しだけ。お前不足になりそうだから」


ねだるような、いつもよりあどけなさを感じるその声音に、どくんと重い音を立てて心臓がなり、それから急速に鼓動が乱れ始める。

今にも心臓が壊れてしまいそうだ。
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