【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
すると藍くんが、「じゃあ」とわたしに背を向けてしゃがみ込んだ。
「おぶってやるから、背中に乗って」
「えっ、だ、だめだよっ」
突然の提案に、わたしは慌ててぶんぶんと首を横に振った。
けれど藍くんは引かない。
「ほら、早く。その足じゃ歩けないだろ」
「なっ、ぁうう……」
見透かされている。
藍くんの言うとおり、ずきずき痛むこの足ではアパートまで歩ききることは難しそう。
「でも、藍くんにそんなことさせられないよ」
「強情なやつだな。こういう時は黙って甘えればいいんだよ。どうせ帰る先は一緒なんだし」
「ぅ、うん……」
最後の一押しをされて、わたしはおずおずと藍くんの背中に身体を預けた。
するとふわりと足が地面を離れて、わたしの身体は宙に浮く。