【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
真っ赤になった顔をごまかすように立ち上がった、その時。
突然部屋のドアがノックされたかと思うと、「由瑠、いる?」と返事を待たずにドアが開き、その隙間から私服姿の藍くんが姿を現した。
噂をすればなんとやらだ。
「あ、藍くん……!」
「この前借りたスウェットだけど」
そこまで言いかけて、藍くんが瑛麻ちゃんの存在に気づく。
「あ、瑛麻ちゃん来てたんだ。ごめん、後にするわ」
身を引こうとした藍くん。
けれどそれより先に、勢いよく瑛麻ちゃんが立ち上がった。
「あ、あああああ藍先輩……!」
藍くんを前に、声が上擦っている瑛麻ちゃん。
目がハートマークになってる。
「待ってください! 藍先輩さえよかったら一緒にどうですかっ?」
「「え?」」
わたしと藍くんの声が綺麗に重なった。