社内捜査は秘密と恋の二人三脚


「ありがとうございます」

「まあ、監査の前だし、ああいう人がいてくれたほうが部長や課長は助かるんでしょう」

「……そうですね。質問はきっとこれから『鈴木さんに言ってくださーい』と言われそうですね」

「あはは。その口まね似てる」

 語尾を少し下げて言う部長の口癖をまねた。ちょっと似てたかな?鈴木さんはさっそく今期の決算書類を確認している。それを横目でやはり畑中専務が見ている。何だろう?気になるのかな?

「北村さん。昨日頼んだ溶解の書類はどうしました?」

「あ、あれならすでに下へ全部運び込んであります。昨日専務がお帰りにならなかったので時間があって頑張って終わらせました」

「そう。言ったとおりにやってくれたよね。付箋のついているやつを抜いておいてくれた?」

「はい、それだけを溶解の箱へ入れておきました」

 ほっとした顔を見せる。
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