となりの色気がうっとうしい
今回の遠足は、入園ゲートで配られた台紙に、園内のあちこちに設置されたスタンプを押す、スタンプラリーが課題。
班の全員がしっかり全部のスタンプを押せていないと、課題クリアにならないと、さっき広場で先生から説明があった。単位にも響くと。
「一個目発見!」
「マンドリルやばっ!」
早速、班で歩いていると、重松さんと重松さんのお友達の小堀美夜さんが、お猿さんコーナーに一目散に走り出した。
「双葉!写真撮って!」
「りょー」
生マンドリルにテンション上がったふたりに、天海くんは色々とポーズを提案しながら写真を撮ってあげている。
重松さんと小堀さん、強めのギャルで勝手に苦手意識があったけど、こんなふうに無邪気に動物園を楽しむタイプなんだな……。
「西木さんと双葉、いつから仲良いいの」
「へっ……」
天海くんたちから少し離れたところでみんなの様子を見ていたら、横からぼそっと声がした。
……神崎くんだ。
「いや、全然仲良くないですから。困ってます。急に付きまとわれて。神崎くんたちだって迷惑ですよね。全然絡んだこともない人間が、突然同じ班に……」
天海くんの気まぐれに付き合わされて、周りのみんなもきっといい迷惑だろう。
「や、別に急じゃない」
「え……?」
急じゃない?どういうこと?
意外な答えが返ってきて、言葉に困っていると神崎くんが続けた。
「悪いやつじゃないから、かまってあげて。あいつのこと」
な、なんで神崎くんにそんなこと言われないといけないんだ……。
「あ、やば、気付かれた」
普段の神崎くんにはあまりイメージのない、わずかな笑みを含んだ声。
彼の視線の先を追えば、マンドリルの檻からこちらに向かってくる天海くんの姿。
顔がちょっと不機嫌そう。