となりの色気がうっとうしい
「な、なんですか」
「いい?大嫌いってキケンよ?大好きになる可能性があるから」
「えっ……?」
何を言っているんだ。
「心が動かされてるって時点では同じだから。興味なかったら、何をしても心は動かない。気持ちが良くも悪くも動くってことは、自分の人生に何かしらの影響を与えてるってことじゃん?だから……ワンチャン」
「いやいや……」
「ちなみに、双葉、月雨がけむ団好きなことを知ってたっぽいよ?班決まってすぐ私らに『趣味合うと思うよ』って言ってたから」
「……」
けむ団ファンだってことを、天海くんに知られて……?
いや、でも、私は、外で使う私物にはけむ団を使っていない。
『ねぇ、西木さんのバッグみた?なんかふわふわのポンポンみたいなの付けてたんだけど!』
『えぇ〜ウケる!似合わな〜!』
入学当初、すれ違いざまにそう言われたことがあった。
こんな堅物な私が、こういうゆるかわいいのを好きなことは恥ずかしいんだって知ったから。
真面目だとか、口うるさいと言われるのは我慢できたのに、好きなことを似合わないと言われたことだけは、傷ついたみたい。
だから……。
「あっ……あの時」
ふと、2日前のことを思い出す。
熱でうなされて意識朦朧のなか、天海くんに部屋まで運んでもらった日。
ベッドの端に何個か並べていたしそのぬいぐるみがドンと頭に浮かぶ。
「……見られたんだ」
「え?何?」
「ううん。なんでもない」
どうしよう。
恥ずかしくて顔が熱い。
日葵ちゃんに今の自分を見られたくなくて、とっさに窓に顔を向ける。
天海くんも、私にはこんなの似合わないのにって内心笑っていたかも。