となりの色気がうっとうしい
*
「月雨〜もう帰りのSHR終わったよ?」
「……」
「ダメだ。月雨〜!!」
耳元で名前を呼ばれてハッとする。
気がつけば、目の前に日葵ちゃんと美夜ちゃんが立っていた。
「あっ……ふたりとも」
「もう。取り憑かれたみたいに勉強すんじゃん!」
「あんま無理しないでよ?」
そう言った美夜ちゃんが、レモンティーと細長いポテトスナックが入ったカップを私の机に置いた。
「えっ、これって……」
「うちらから差し入れ。でも頑張りすぎるな。また風邪ひくよ?」
差し入れ。
勉強していてそんなものを誰かからもらうなんて初めてで、目の奥が熱くなる。
どうしよう。
最近の私は、日葵ちゃんと美夜ちゃんからもらいすぎだ。
私はふたりのために何もできていない。
逆に、ふたりがいるのにお昼休みまで勉強しちゃって……。
「うちらが頭良かったら助けてあげられたんだけどね」
「これぐらいしかできなくてごめんよ」
「そんなっ!違います。私が……要領悪いのがいけなくて。ひとつのことにしか集中できない節があると言う……本当、ごめんなさいっ」
「謝んな〜!テスト終わったら、3人で遊びに行こうよ。夏休みもさ!けむ団カフェ行こ!」
「いいね!最高!」
どうしよう。
ふたりが優しすぎて、涙が出てきそう。