となりの色気がうっとうしい



「月雨ちゃんが風邪引いたの、俺が原因でもあるんだしさ」


天海くんのセリフに、日葵ちゃんたちが「そうなの!?」と驚く。


「だから受け取ってよ。月雨ちゃんがそんな状態じゃ、俺もテスト集中できないって。」


「ね?」と首を傾げる天海くん。
ここは、天海くんの厚意を素直に受け取った方がいいかもしれない。


差し出されたノートを受け取ろうと手を伸ばした瞬間だった。


ノートがヒョイっとさらに上に持ち上げられる。


「土曜」


「えっ?」


「土曜の朝に受け取りにきてよ」


土曜?どうして急に?
時間……ないんですけど。


「月雨ちゃん、今渡しちゃったらぶっ通しでやるの目に見えてるから。今日は終わり。ほら帰るよ」


天海くんは、取り出したノートをカバンにしまってから、私に帰る準備をするよううながす。


しぶしぶ、帰る支度をして、私たちは4人で教室を出た。


「てか、月雨が風邪引いた原因って双葉なの?なんで?」


昇降口へと向かいながら、日葵ちゃんが興味津々に聞いてくるので、仕方なくあの日あったことを説明した。


大嫌いな天海くんをきっかけに。
まさか、あの日のことを日葵ちゃんたちに話す日が来るなんて。


人生何があるかわからない、そう思いながらチラリと隣を歩く天海くんを見る。


本当……この人、ずっと何を考えているんだろう。
私をからかっているにしては、いちいち親切がすぎるし。


私が自分に落ちたら面白いとでも思っているのだろうか。
そんなこと、ありえないけど。


───バチッ


あまりにも見過ぎだったのか、天海くんと目があってしまい、すぐに逸らすと。


「月雨ちゃ〜ん。俺の綺麗な横顔に見惚れてた?」


とからかってくる。


やっぱりめんどうくさい人、と無視していると。


「しそ、つけてくれてありがとう」


なんて、コソッと耳元で言ってくるから。
悔しくてしょうがない。

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