となりの色気がうっとうしい
*
やってきた土曜の朝。
私は、隣の部屋のドアを見つめていた。
横にあるインターホンに手を伸ばし、ゆっくり押す。
《わ、月雨ちゃんだー。今行くね〜》
スピーカー越しに聞こえた、聞き慣れた声。
すぐにドアが開かれた。
「……おはようございます」
「おはよ。月雨ちゃん。ちゃんと来てくれていい子だね」
なんて言う天海くんは、いつも見慣れた制服とは違い私服姿。
黒パーカーというラフな格好だけれど……。
彼の耳元に目が奪われる。
いつもは片方だけにピアスひとつだけなのに……。
両方の耳に複数ピアスが光ってるのはもちろん、耳の上のほうには、針みたいな細長い棒のようなものが、耳を貫いている。
「……」
生きる世界が違う人と関わってることを改めて実感する。
「ん?月雨ちゃん?」
「それ……痛くないんですか……」
「え?……あぁ、そっか。学校ではつけてないもんね。閉じないように休日はつけるようにしてるんだよね。最近、学校行きすぎてしてない時間増えたからさ〜」
わからない。
おしゃれな域を超えていると思う、その量は。
かっこいいより、痛々しいと思ってしまう。
好みは人それぞれだから言わないけれど。
「触ってみる?」
と顔を近づけてきた天海くんに、「結構です!」とぶんぶん首を振る。