となりの色気がうっとうしい




やってきた土曜の朝。


私は、隣の部屋のドアを見つめていた。
横にあるインターホンに手を伸ばし、ゆっくり押す。


《わ、月雨ちゃんだー。今行くね〜》


スピーカー越しに聞こえた、聞き慣れた声。
すぐにドアが開かれた。


「……おはようございます」


「おはよ。月雨ちゃん。ちゃんと来てくれていい子だね」


なんて言う天海くんは、いつも見慣れた制服とは違い私服姿。


黒パーカーというラフな格好だけれど……。
彼の耳元に目が奪われる。


いつもは片方だけにピアスひとつだけなのに……。


両方の耳に複数ピアスが光ってるのはもちろん、耳の上のほうには、針みたいな細長い棒のようなものが、耳を貫いている。


「……」


生きる世界が違う人と関わってることを改めて実感する。


「ん?月雨ちゃん?」


「それ……痛くないんですか……」


「え?……あぁ、そっか。学校ではつけてないもんね。閉じないように休日はつけるようにしてるんだよね。最近、学校行きすぎてしてない時間増えたからさ〜」


わからない。
おしゃれな域を超えていると思う、その量は。


かっこいいより、痛々しいと思ってしまう。
好みは人それぞれだから言わないけれど。


「触ってみる?」


と顔を近づけてきた天海くんに、「結構です!」とぶんぶん首を振る。
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