となりの色気がうっとうしい
「よく飲むの?」
「いえ……子供のころ、家族で食事に行ったとき、妹と半分にして飲んでたなあって」
「へぇー仲良いね。俺、ひとりっ子だからさ。きょうだいいるの羨ましい」
あの、みんなが羨んでいるであろう天海くんが、誰かに羨ましいなんて感情を持つなんて意外。
「……昔は、それなりに仲良かったと思いますけど。今は全然……奏が何を考えているかも、私のことを好きかもわからないので。きょうだいがいても、会話が減ったり顔を合わせなくなれば、他人と変わらないです」
「そっか。西木姉妹に何があったか知らないけどさ。それでも、生まれた時からずっと近くで自分を見てる人が、親以外にいるかどうかって結構違うと思うよ」
ふと、天海くんの方を見ると、彼の視線は窓の外に向いていた。
天海くんの今の言葉に、どんな意図があるかわからない。
でも、その姿が、なんだか儚げで、このまま消えちゃいそうだと思ってしまった。
「他人と一緒とか言うんならさ。俺のこと叱ったときみたいに、妹ちゃんとも面と向かってガツンと話せばいいじゃん。得意でしょ、月雨ちゃん」
「……それは」
できるわけない。
瞬時にそう思った。
バツが悪くて、水を一口飲むと、天海くんが再び口を開いた。
「大切だから、できないよね。他人じゃないってこと」
その言葉に、胸がギュッとなる。