となりの色気がうっとうしい
喫茶店から出て数分。
天海くんが進むルートは、どう考えてもうちのマンションへは向かっていない。
「あの、天海くん……」
「食べてすぐ勉強はさ〜血糖値上がって眠くなるじゃん?」
いや……じゃああなた、さっきなんのためにブラックコーヒーを。
「だからちょっと運動を、ね」
とテクテク進み出す天海くんに、渋々ついていくのは、休んだ分のノートのため。
道中、流石に帰ろうとしたら「ノートいらないの?」なんて脅された。
正直、ノートはもういい。
そもそも、自分ひとりで取り組む問題で、こんな人を少しでも頼ろうとした自分が間違っているから。
けど、気付いた頃には時すでに遅し。
あの喫茶店から、普段あまり通らない道ばかり使われて、帰り道がわからない。
スマホも持ってないからマップアプリも開けないし。
実質迷子。
不本意だけど、今の私には、この横を歩く男を頼るしかないのだ。