となりの色気がうっとうしい
「ほら、月雨ちゃんならいける!」
「えぇ……」
ゲーム画面が光出したとたん、穴からぴょこぴょこ飛び出してくるワニ。
「ほら、月雨ちゃん急いで!強く叩くだけ!」
んもう!!
なんで私がこんなこと!!
天海くんってほんと……!
「……じゃあ」
私はハンマーを握り直した。
「天海くんだと思ってやってみます」
「え?」
ゴンッ! ゴンッ! ゴンッ!
次々に顔を出すワニを、一切ためらうことなく叩き続ける。
「ちょっ、月雨ちゃ……待っ……!」
隣の天海くんの声なんて聞こえない。
目の前に出てくるワニを叩くのに必死。
「ゲームしゅうりょーー!」
と言う声がしてハッとすれば、天海くんがお腹を抱えて笑っていた。
笑いすぎでは。
「ねぇ、俺って、そんなに月雨ちゃんから嫌われてるの!?」
「そりゃあ……」
「ほんと、容赦ないね〜そこがいいんだけど」
天海くんは笑いすぎて涙が出たみたいで、それを指で拭いながら、反対の手を私の頭にポンと乗せた。
「俺の方が笑いすぎて良いストレス発散になったわ。月雨ちゃんは?」
「……ちょっとだけ、すっきりしました」
「ふはっ、良かった」
そう笑った天海くんの手がなかなか頭から離れる気配がない。
「あの……セ……」
「……クハラですよね!」
パッと手を離して、両方の手のひらを見せてきた天海くんが、完全に降参の時の犯人で、思わず笑ってしまった。