となりの色気がうっとうしい
「誰もって……ここ、天海くんひとりで住んでるんですか?」
確か、私がここに引っ越してきたばかりの頃には、何回か女性がこの部屋を出入りするのを見た気がするけど。
そういえば、最近は見ないかもしれない。
「……今はね。でもまたふらっと帰ってくるかも」
と笑って見せる天海くんだけど。
その笑顔が、無理して作っているように見えたから。
それ以上は何も聞かなかった。
未成年の子供がいながら、ふらっとで帰ってくる親とは……。
私には理解し難いことだけど、わからないことだからこそ、何も言ってはいけない。
私も、奏のことあれこれ聞かれたくない。
きっと天海くんにも、同じように触れてほしくないことがあるのかもしれないから。
「……エビ」
「え?」
口からこぼれた声に、天海くんが聞き返す。
「……天海くん、エビ食べられますか?」
「エビ?好きだけど」
「そうですか。……お昼、チャーハンを作る予定だったので。少し遅いですが、お時間あるなら、うちでどうかと」
「……っ、え?え、待って。月雨ちゃんが俺にお昼作ってくれんの?なんで?」
「なんでって……」
正直、自分でも今の発言に驚いている。
どうして、天海くんにご飯を作ってあげるなんて。
頭を高速回転させて、言い訳を考える。