となりの色気がうっとうしい
天海くんは、スプーンにチャーハンをすくうと、そのまま口へ運ぶ。
自分でも味見はしたけれど、人に食べてもらうとなると、やっぱり少し緊張する。
「……ん!うんんんまっ!」
天海くんは、そう言って目を見開くと、そのまま二口目をすくって頬張る。
「……ほんと?」
「うん!やばい。うまいラーメン屋のうまいチャーハンっ!月雨ちゃん、俺と一緒にラーメン屋開こうよ」
「いや……それだとラーメンの修行からしなきゃいけないんで」
「ツッコむのそこ?月雨ちゃんなら、まず、天海くんとやるわけないですっ!っていうかと」
「それ、私のマネですか?全然似てないですけど」
「え〜絶対クオリティ高いよ〜」
そんなテキトーな返しをする天海くんが、今度はエビを狙うようにスプーンに乗せて口に運ぶ。
「んっ!!エビ、ぷりっぷりっ最高だね!」
「冷凍ですけど……」
正直、ここ最近はご飯を作ってもこんなに喜んでもらうことがなかったから嬉しい。
お母さんは、私が作ったご飯を食べたら『美味しかったよ』と頻繁にメッセージをくれるけど。
生活リズムがほぼ真逆だから、直接会って言ってもらうのはほぼないし。
奏は……あんな感じだし。
と、リビングの先の廊下からチラリと見える部屋のドア見つめる。
「ねぇ、月雨ちゃん。俺の弁当作ってくれない?」
「やです」
「即答……」
と呟いた天海くんが、スープをすすって「沁みるね〜」なんておじさんのようなセリフを吐いてて思わず笑ってしまう。
テーブルの上に並んだ二人分の料理。
ラップがかけられていない2人分のお皿を見るのはいつぶりだろう。
――一人で食べるより、誰かと食べるほうが美味しい。
朝、卵サンドを一緒に食べたときにも思ったけれど。
こうして向かい合って食事をしていると、そのことを改めて実感する。