となりの色気がうっとうしい
「……天海くん」
「ん?」
チャーハンを頬張ったまま、天海くんが顔を上げる。
「ひとつ、聞いてもいいですか?」
「なに?」
「どうして、私にかまうんですか?」
スプーンを置く。
ずっと引っかかっていたことだった。
天海くんは少しだけ考えるように瞬きをしてから、「んー……」と、首を傾げて口を開いた。
「月雨ちゃんが、俺のこと嫌いだから、かな」
「……はい?」
思わず眉を寄せる。
天海くんは楽しそうに笑いながら話す。
「だから、一緒にいると安心できて楽」
「……そう、ですか」
まるで、私といる時以外の天海くんは、なにか無理していると思わせるような言い方。
違和感を感じたけど、さらに踏み込む間柄でもないから、どう返そうか迷っていると。
廊下から、かすかな足音が聞こえた。
私が顔をあげたのと同時に「ゲッ……」という声がした。
「奏……」
リビングの入り口に立つ奏は、天海くんへ視線を移す。
「なんでこの人がいるの?……てか、なに、一緒にご飯なんか食べちゃって」
私と天海くんが向かい合って食事をしているのを見た瞬間、奏があからさまに顔を歪めていう。
「おじゃましてるよ、奏ちゃん。この間に比べてかなり親密になったんだよね〜お姉ちゃんと」
「きんんもっ」
「奏!」
煽るような言い方をした天海くんも悪いと思うけど、さすがに、ちゃんと話したことない相手に良くない言葉をぶつけたので、とっさに声を荒げてしまった。
「ごめんなさい、天海くん。妹が……」
「え、何、もしかして付き合ってるわけ?」
奏は、鼻で笑うように言うと、気だるそうにキッチンに向かう。
冷蔵庫から麦茶を取り出してコップに入れて飲み始めた奏が、こっちをじっと見つめる。
「そういうのじゃないよ。熱で休んでて勉強が少し遅れ気味だから、天海くんに色々と教えてもらったから。少しでもお礼をと」
「俺、こう見えて学年一の成績なんだよね〜」
と自分を指さして奏に笑顔を向ける天海くん。