となりの色気がうっとうしい

「……天海くん」


「ん?」


チャーハンを頬張ったまま、天海くんが顔を上げる。


「ひとつ、聞いてもいいですか?」


「なに?」


「どうして、私にかまうんですか?」


スプーンを置く。


ずっと引っかかっていたことだった。


天海くんは少しだけ考えるように瞬きをしてから、「んー……」と、首を傾げて口を開いた。


「月雨ちゃんが、俺のこと嫌いだから、かな」


「……はい?」


思わず眉を寄せる。


天海くんは楽しそうに笑いながら話す。


「だから、一緒にいると安心できて楽」


「……そう、ですか」


まるで、私といる時以外の天海くんは、なにか無理していると思わせるような言い方。


違和感を感じたけど、さらに踏み込む間柄でもないから、どう返そうか迷っていると。


廊下から、かすかな足音が聞こえた。


私が顔をあげたのと同時に「ゲッ……」という声がした。


「奏……」


リビングの入り口に立つ奏は、天海くんへ視線を移す。


「なんでこの人がいるの?……てか、なに、一緒にご飯なんか食べちゃって」


私と天海くんが向かい合って食事をしているのを見た瞬間、奏があからさまに顔を歪めていう。


「おじゃましてるよ、奏ちゃん。この間に比べてかなり親密になったんだよね〜お姉ちゃんと」


「きんんもっ」


「奏!」


煽るような言い方をした天海くんも悪いと思うけど、さすがに、ちゃんと話したことない相手に良くない言葉をぶつけたので、とっさに声を荒げてしまった。


「ごめんなさい、天海くん。妹が……」


「え、何、もしかして付き合ってるわけ?」


奏は、鼻で笑うように言うと、気だるそうにキッチンに向かう。


冷蔵庫から麦茶を取り出してコップに入れて飲み始めた奏が、こっちをじっと見つめる。


「そういうのじゃないよ。熱で休んでて勉強が少し遅れ気味だから、天海くんに色々と教えてもらったから。少しでもお礼をと」


「俺、こう見えて学年一の成績なんだよね〜」


と自分を指さして奏に笑顔を向ける天海くん。
< 67 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop