となりの色気がうっとうしい
屋上の扉を開け、眩しい日差しで思わず目を細めながら外へ出ると。
心地よい風が頬を撫でた。
辺りを見回しながら歩き、塔屋の角を曲がると。
日差しから逃れるようにできた壁際の影に、天海くんがひとり座っていた。
「天海くん!」
「え、月雨ちゃん。なんで……」
「神崎くんから聞きました」
「え。俺に会いたくなって俺の居場所聞いたの?可愛いね」
「……あの、成績表……」
「ガン無視やめてよ。成績?」
天海くんがきょとんと首を傾げる。
「私の勉強見たせいで……」
実は、私はあの日以外にも、なんだかんだ天海くんに勉強を見てもらっていた。
私が、甘えすぎたせいで……。
「なに言ってんの?月雨ちゃんの努力でしょ」
「でも……」
「まぁ、月雨ちゃんのせいって言えばせいなのかもねぇ」
「……っ」
ほんの少しだけ、天海くんの声が低くなった気がして、申し訳なさで拳をギュッと握っていると。
「おいで」
天海くんは、床をトントンと叩いて私に座るようにうながす。
「本当にすみません。2位から下がらないようにって必死で。私のせいで、天海くんの勉強する時間削られて───え」
私が話している途中にも関わらず、突然、天海くんが私のスカートに頭を乗せた。
「ちょ、何してるんですか?!」
思わず声が裏返る。
突然のことに、身体が固まった。
すぐにこの体勢をどうにかしなきゃと身体を動かすけど、膝の上に乗った天海くんの頭が、思ったよりしっかり固定されて動かない。
私は諦めて足を伸ばすと、天海くんがうっすら目を開いて話す。
「……最近、よく寝られるんだよね」
「えっ……」
なにそれ。
まるで、今までは寝られていなかったみたいな……。