となりの色気がうっとうしい
「俺、眠れない時間に暇つぶしに勉強してただけだから。だから、俺の成績が下がるってことは、身体の健康にはめちゃくちゃいいことなの。だから心配しないで。1位おめでとう、月雨ちゃん。俺は月雨ちゃんの頑張りが報われて嬉しい」
「……っ、」
何よ、それ。
『まぁ、これが、一位と二位の差かなぁ』
そうやって、私のこと馬鹿にしてたくせに、今は私が報われて嬉しい、とか。
「俺は別に、成績になんのこだわりもないよ。逆に、月雨ちゃんはなんでそんなに成績気にしてるの?」
ムカッ。
成績を気にしなくていいなんて、お気楽でいいですね。
天海くんは、私の髪に手を伸ばして毛先に触れていじる。
なんか……猫じゃらしで遊ぶ猫みたい。
いや、天海くんってどっちかっていうと犬かな。
すぐ尻尾振る感じが。
「天海くんが気にしなさすぎだと思います。いい成績を残して、いい大学に行って、給料のいい仕事に就くんです」
「へー。なんで?」
「なんでって……それが、1番の親孝行だから」
「本当に?」
「え?」
「そうして欲しいって、月雨ママがそう言ったの?それが、月雨ちゃんが本当にしたいことなの?」
「そ、それは……」
いきなりどうしてそういうことを言ってくるんだ。
私はずっと、それが自分のすべきことだって思ってた。
なんでそれを今、疑う必要が……。
「月雨ちゃんがしたいこと全力で楽しむ方が親孝行なんじゃない?」
天海くんの言葉が、グサッと強く胸を突き刺した。