となりの色気がうっとうしい
「月雨ちゃんの小さい頃の将来の夢ってなんだったの?」
「え……将来の、夢」
夢って……なんだか久しぶりに聞いた気がする。
ずっと、将来の目標、計画、そんな風に考えていた。
『わたしの将来の夢は、家族みんなでお店をすることです!』
ふと、幼稚園生ぐらいの自分が卒園式でそう発表したのを思い出す。
「駄菓子屋……」
「え?」
「思い出したんです。そういえば昔、店舗兼自宅みたいな空間にすごく憧れてたなあって。それで、家族みんなで小さい定食屋とかカフェとか、そういうのしたかったのかなあって」
「めちゃくちゃいいじゃん。駄菓子屋っていうのは?」
き、聞こえてたんだ……。
ちょっと恥ずかしくなりながらも、詳しく説明する。
「うち、私が小学校に上がる前に離婚しているんですけど。でも、小さい頃はよく、父方の祖父母の田舎の家によく遊びに行っていて。そこが駄菓子屋をしていたんです。記憶はすっごくおぼろげだけど。レジの奥は家と繋がってて……子供ながらに好きな空間だったなあ……と」
「うわぁ、いいね。今は?行きたいと思わない?」
「え……いや、そんなこと母に言えないですから……」
私と妹のことを1人で懸命に育ててきたお母さんだ。
お父さんに関わる話なんて、嫌だと思うし……。
「月雨ちゃんってほんと、家族のことになると急に自我殺すね〜」
「……っ」
「まぁ、ブーメランなんだけど」
「えっ」
『ブーメラン』って……一体どういうことだろう。