となりの色気がうっとうしい
*
『え!?!?月雨の妹ちゃん!?来てくれたらめっちゃくちゃ嬉しいっ!』
『月雨、妹いんの!?会いたすぎるんだがっ!?』
天海くんと屋上で話したあと、恐る恐る日葵ちゃんと美夜ちゃんに奏のことを話すと、ふたりの瞳がみるみる見輝き出した。
思っていたよりもずっと嬉しそうな反応に、少しだけ驚いて。
一応、奏は学校にも行けてなくて部屋からも極力出てこないこと、だから来るとは限らないけど、まずはふたりの気持ちを聞きたいと簡単に説明した。
ふたりは嫌な顔ひとつせず、『とりあえず誘ってみようよ!』と笑ってくれた。
だから、お風呂を終えた今、私は、奏の部屋の前にいる。
「……」
閉ざされた扉を見つめる。
この向こうに、奏がいる。
いつもなら、ノックすることすら躊躇ってしまう。
何を話せばいいのかもわからないし、話しかけても、どうせ返事は返ってこない。
しかも、この間、天海くんのことで怒鳴ったばかり。
ものすごく気まずい。
でも、このまま何もしなければ、どんどん奏との心の距離が遠くなってしまう。
正直、天海くんに奏を連れていく提案をされる前から、そんな危機感は、あった。
だから、きっかけができたことはありがたい。
一度、深く息を吸って、ゆっくりと吐き出す。
そして、意を決して扉を二回、軽く叩いた。
コン、コン。