猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
買い物
翌日目を覚ましたとき尚美はまだ健一の腕の中にいた。

一瞬自分が猫になっていることを忘れて悲鳴をあげたけれど、喉から出てきた「ミャア!」という言葉に、昨日のできごとをすべて思い出していた。

ど、どうしよう。
あれは全部現実だったんだ……。

まだ眠っている健一の横で絶望的な気分になる。
交通事故に遭っただけならまだしも、猫になっただなんて。

言葉も通じないから誰にも相談できないし、唯一助けてくれた人はまだ眠っている。

このまま猫で居続けることになるんだろうか?
死ぬまでずっと?

そう考えるとゾッとする。
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