余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
 ……きっと大丈夫。異常があったとしても深刻なものではないはず。だって私、手足以外は元気だもの。

 きっと先生は大勢の患者さんを見てきたから少し私の症状が気になって、問題がないと確かめるために声をかけたのよね。ここまでしてくれるなんて、すごくお人好しの先生なんだな。

 独特な大きな音と振動を感じながら、不安に負けないよう自分に言い聞かせてじっと終わるのを待った。

 しかしその後、診察室のパソコンに映し出されたMRI画像を見た瞬間、私は凍りついた。

 脳の真ん中よりの部分に、はっきりと白いもやがある。医療のことはなにも知らない素人でも、これは明らかに異常だとわかるほど。

「え……先生、これって」
「うん、よくないものがいるね。大きさは三センチくらいかな。頭痛や手足の軽い麻痺は、これのせいで起こっていたんだ」

 真剣な様子でいくつかの画像を見比べる柏先生は、先ほどまでの朗らかさを隠した厳しい表情で告げる。

「これはおそらく、脳腫瘍だね」

 ──一瞬、すべての音が消えて気が遠くなるような感覚を覚えた。

 夏くんの話にその病名はたびたび登場していたし、病院に営業に行った時も耳にしていたからなんとなくわかる。脳腫瘍は脳のガンとも呼ばれる、比較的珍しい病だと。

 まさか、私の頭の中にそれが住みついていたなんて。

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