余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
 にわかには信じられない。けれど、こうしてはっきり画像に映っているのだから、疑いようのない事実なのだ。

 でも、まだ詳しいことはなにもわからない。一度軽く深呼吸してドクドクと鳴る心臓を落ち着かせ、真っ先に浮かんだ疑問をわずかに震える声で口にする。

「腫瘍……ってことは、良性と悪性があるんですよね? これはどっちなのかはわかるんですか?」
「もっと詳しい検査をしないと、確かな診断はできない。ただ、僕が見てきた症例からある程度推測することはできるよ」

 ごくりとつばを飲む私に、先生は優しい表情に戻って「ご家族を呼んで一緒に聞いてもらうかい?」と尋ねる。その時点で、この腫瘍は決して簡単に治るものではないということがわかった。

 今すぐ聞いてはっきりさせたい気持ちと、ひとりで聞いてしっかり受け止められるだろうかという不安が入り交じる。しかしどこか妙に冷静な自分もいて、今が特別に作ってもらっている時間だと気づく。

「すぐにでも聞きたい気持ちはヤマヤマだけど、今から家族を呼ぶのでは時間がかかっちゃいます。先生もお休みなのにこうして診てくれているんですし、また明日家族と一緒に来ます」

 さっきよりもしっかりとした声で言うと、先生はキョトンとした後、ふっと口元をほころばせた。

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