余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

『今日は当直で明日の午前中には帰れるから、作戦会議でもしようか』

 偽装婚約話が成立した後、夏くんが仕事に戻る前にそう言い、彼の貴重なプライベートの時間を独占できることになった。

 さっそくこんなに会えるなんて幸先がいい。最近、朝起きると頭痛に悩まされているのだが、翌朝はすこぶる体調がよくて身体も単純なんだなと思う。

 逸る気持ちを抑えて午後五時まで仕事をし、終わったら残業などせずさっさと会社を出た。

 真っ先に夏くんが住むマンションへ向かいたいけれど、その前にスーパーに寄って食材を仕入れていく。

 家にあるものでささっとご飯を作り、女子力を見せつけたいところなのだが、悲しいかな彼の家の冷蔵庫にたいした食材が入っていないのは百も承知だから。

 この時間に会う時はいつも夕飯を一緒に食べる流れになるので、相談しなくてもお互いにわかっている。

 ただ、これまでは常に秋奈や慎ちゃんもいたから、ふたりきりなのはほぼ初めて。マンションにお邪魔したことは何回かあるけれど、実はちょっと緊張している。

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