余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
「偽装から本気になるのが恋愛漫画のお約束でしょ。偽装の関係になったのは、結ばれる前の大きなフリと言っても過言じゃないわ」
「出たよ、秋奈の恋愛脳」

 真剣に力説する彼女に、慎ちゃんは呆れた目をして脱力した。秋奈は見た目もとても大人っぽく、性格もクールなお姉さんという感じなのだが、実は恋愛漫画が大好きな夢見がち女子だ。

 私が夏くんと付き合うことをずっと望んでくれているので、その期待が大きく膨らんできたらしく、女優ばりに美しい顔をにんまりと緩ませている。

「兄貴が承諾するなんて意外すぎるけど、あの鈍感ヤローにしてはいい選択をしたわね」
「本気で困ってたんじゃないかな。周りから結婚話を持ちかけられるのが」
「そんなに困ってる様子はなかったわよ。単純に天乃と同じ気持ちだったりして」
「それはない」

 私はきっぱり否定してビールを喉に流し込んだ。もし夏くんも同じ気持ちだったなら、なにかしらの行動はするだろうし、とっくに私たちはくっついていたはずだもの。

 女同士であーだこーだと話している横で、慎ちゃんは納得いかない様子で腕を組んでぼやく。

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