君との恋のエトセトラ
「凛ちゃん!どうしたの?今日も休んでていいのよ?」

仕事を終えて弁当屋のアルバイトに向かうと、妙は驚いたように駆け寄って来た。

「熱はない?今日も朝からお仕事行ってきたんでしょ?それなのにこっちまで来るなんて…。ダメよ、もう帰りなさい」
「いえ、体調はすっかり良くなりました。妙さんと勝さんに会いたかったし、少しだけお仕事してもいいですか?」
「ええ?そんな…」

妙は困ったように勝治を振り返る。
勝治は厨房から出て来ると、白い帽子を取った。

「今夜はもう、今あるものが売れたら閉店だ。俺は隣でお茶でも飲んでるよ。凛ちゃん、お茶淹れてくれる?」
「あ、はい!」

凛は頷くと和室に上がり、勝治の湯呑みに緑茶を淹れた。

「ほら、凛ちゃんも」

勝治は凛の手から急須を取ると、湯呑みに注ぐ。

「はい、ありがとうございます」

そうしている間にも、常連客が次々とやって来て弁当を買っていく。

妙が会計を済ませると、馴染みの客は和室の中を覗き込んで声をかけてきた。

「凛ちゃん、またねー!」
「はい、毎度ありがとうございます」

忙しそうな妙を少し手伝うと、店頭の弁当はすぐに売り切れとなった。

妙も靴を脱いで和室に上がり、3人でお茶を飲む。
< 103 / 168 >

この作品をシェア

pagetop