君との恋のエトセトラ
夜食を食べ終えた航がシャワーを浴びている間に、凛は洗い物を済ませて明日の朝食の下ごしらえをする。

そろそろ出てくるかな?と航の為にカフェインレスのコーヒーを淹れていると、ドライヤーの音と一緒に鼻歌が聞こえてきた。

(ご機嫌だなー、河合さん。この歌何だっけ?少し古い洋楽のバラードだよね。それにしてもいい声だな。素敵…)

そこまで考えてから、ん?とあることに気づいて首をひねる。

「あーー!!」

思わず大きな声を出すとドライヤーの音が止み、航が勢い良く部屋に入ってきた。

「どうした?!」
「河合さん!音痴じゃないじゃないですか!」

…は?と航は目が点になる。

「え、何の話?」
「カラオケです!河合さん、音痴だから行かないって。あれ、嘘だったんですね?」
「へ?何それ」
「もう!忘れちゃったんですか?そんなに簡単に嘘ついたらダメですからね!」
「なんだかよく分からないけど、俺、嘘はつかないよ?」
「嘘です!じゃあ今度カラオケ行って、採点してもらいますからね!」

絶対に歌上手だもん!うっとり聴き惚れちゃったし、とブツブツ呟く凛を、航はポカンと眺めていた。
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