君との恋のエトセトラ
第九章 穏やかな時間
「凛ちゃーん。悪いんだけど、この書類メディア部に届けてくれない?マス広告担当の杉田さんに」
「かしこまりました。あ、木原さん。プロモーション部の松本さんが先程来られましたよ。進捗状況聞きたいから、また出直すとおっしゃってました」
「そうなんだ、電話してみるよ。ありがとう!」

7月に入り、慌ただしく過ぎていく日々の中、凛は少しでも社員達の力になりたいと懸命にサポートしていた。

頼まれる前に、こちらから出来ることを探す。
困っている様子の社員には、リサーチした資料や参考になりそうな広告をまとめ、何かのヒントになれば、と言って渡す。

出来る限りスムーズに社員達が仕事に打ち込めるようにと、毎日アンテナを張って見守った。

そんなある日。
入社3年目のまだ若い沢田が、思い詰めた顔で課長のデスクに近づくのに気づいた。

凛はパソコン作業をしながら、さり気なく視界の隅にその様子を捉える。

声を潜めてやり取りした後、課長は大きくため息をついてから頷いた。

そして翌日。
沢田が退職したことが皆に告げられたのだった。
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