君との恋のエトセトラ
(河合さん、もうおうちに着いたかな?)

スマートフォンで時間を確認すると、23時だった。

(冷蔵庫のおかず、食べてくれたかな?1週間分くらいしかないから、また不摂生になっちゃうかな。朝ご飯も、ちゃんと食べてくれるといいんだけど)

そう思いながら、チラリとキッチンに目を向ける。

航のマンションとは大違いのひと口コンロ。
まな板を置くスペースもないシンク。

(これじゃあ、料理もしづらいな。私も不摂生になっちゃいそう)

苦笑いしながら床で膝を抱えて座る。
小さな机とベッドを置いただけの狭い部屋。

(今日からここが私の城、か)

昨日のうちに手続きしておいたマンスリーマンション。

少しでも安い部屋を、と、以前とは違う都内から外れた場所を借りた。

(えーっと、ここから会社は…。わっ、2時間近くかかるのね?)

アプリで検索すると、予想以上に通勤時間がかかることに驚く。

だが安さには変えられない。
ここの家賃はひと月7万5千円。
平日の仕事終わりと土日休みにアルバイトをすれば、なんとか補えそうだった。

明日派遣会社に住所変更の連絡をして、通勤定期代が全額もらえるか、副業でアルバイトをしてもいいか確認しようと思いながら、凛は冷たい布団に潜り込んだ。
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